検査の「基準値」とは?

ご自身が受診した健康診断の数値結果を「基準値(参考基準範囲)」と比べて、安心したり、不安になったりしたことはありませんか。
人間と同じく犬や猫の検査項目の多くに基準値が設けられています。
集団基準値とも呼ばれる基準値は、多数の健康な個体から統計学的処理に基づいて設定されます。通常、健康な個体の検査結果を集計すると、ほとんどの検査項目は下のグラフのように左右対称の山型になります。一般的に、ここから極端に高い数値と低い数値を除き、健康な個体の95%が含まれる範囲を「基準値」としています。

基準値は健康な個体の検査結果であるため、基準値内の結果を「正常値」、基準値外の結果を「異常値」と呼ぶことがありますが、基準値の設定から分かるように健康な個体でも5%は基準値から外れる可能性があります。

このため、獣医師の先生は 基準値を参考にしつつ、問診や身体検査、症状、画像検査等の情報に照らして総合的に判断します。結果の数値やウェブで検索した情報だけで自己判断しないようにしましょう。


以上のように、基準値はあくまでも統計的な目安であり、実際は個体毎に少しずつ「正常である範囲」が異なります。
犬は体のサイズや犬種等の個体差が大きく、猫は犬と比べて病気を隠しがちです。どちらも定期的な健康診断で検査データを蓄積して、個々の体の中の小さな変化にいち早く気づいてあげることこそ健康寿命を延ばす鍵と言えるでしょう。

また、ペットは自分の体の状態を言葉で伝えられないため、ご家族が日頃から生活の状態や行動の変化をメモにとり、健康診断や不調で受診する際に獣医師の先生にお伝えするように心がけましょう。

メモをとり動物病院に持参しましょう

生活環境や習慣
□外に出ることがある/ない
□どんな生活や行動か
(運動・遊び・睡眠・食事・排泄)など

行動や状態の変化
□いつ頃から様子が変わったか
□食欲はあるか
□水を飲む量に変化があるか
□尿や便の状態は
□体重の変化はあるか など

※基準値は、動物病院で用いている検査機器の種類や、動物専門の検査センターで使用している検査機器の種類や検査技術によって異なる場合があります。(検査方法による精度の違いの研究例はこちら