検査は、言葉を話せない犬や猫の体の中の状態や不調の原因を調べ、その後のケアや
治療を決める大事なスタートポイントです。
同じ病気を調べる検査でも用いる検査方法によって精度が異なり、病気を早期に
発見できる場合もあれば、本当の病気の特定が遅れて治療に影響がでる場合もあります。
検査の精度が低い場合、再検査や診断の遅れなどで、
かえって費用が掛かってしまうこともあります。
ご家族の一員であるペットのことを第一に考え、
獣医師の先生が必要と判断された動物専用の
検査を受診することが大切です。
「陽性的中率」とは、陽性と判定された場合に、真の陽性である確率のことです。
検査結果が「陽性」でも、実際には疑われた病気にかかっていない場合もあります。
これを「偽陽性」といいます。検査方法による精度の違いを検証した研究の結果をご覧ください。
猫白血病ウイルス感染症(FeLV)は、発症すると深刻な症状を示す怖い病気で、
日本の猫ではおよそ5%から10%の有病率と考えられています。
※有病率とは、特定の集団や地域の中で病気を有する個体の割合です。
*病気の診断が100%可能な検査方法であることを示すものではありません。
*病気の診断が100%可能な検査方法であることを示すものではありません。
Levy JK, Crawford PC, Tucker SJ.: Performance of 4 Point-of-Care Screening Tests for Feline Leukemia Virus and Feline Immunodeficiency Virus, J Vet Intern Med. 2017 Mar;31(2):521-526.
※本研究は猫白血病ウイルス感染症(FeLV)と猫免疫不全ウイルス感染症(FIV)を検出する4つの院内検査キットを比較・検証したもので、学術誌 「Journal of Veterinary Internal Medicine」2017年3月号に発表されました。対象とされた院内検査キットの1つがELISA (エライザ)法、他の3つがイムノクロマト法という検査方法を採用しています。上図は、本研究の中から猫白血病ウイルス感染症 (FeLV)に関する検証結果に基づき、ELISA (エライザ)法を用いた院内検査キットとイムノクロマト法を用いた院内検査キット3つの内1つの「陽性的中率」を図式化したものです。イムノクロマト法を採用した他の2つの院内検査キットの「陽性的中率」は、ここに取り上げたイムノクロマト法の結果と同等か、それ以下でした。
※「陽性的中率」は、あくまでも理論的に算出された「検査結果が的中する確率」です。病気の診断が100%可能な検査であることを示すものではありません。獣医師の先生は、一つの検査結果だけでなく、問診や身体検査・他の様々な検査の結果をみて総合的に判断されます。検査内容や診断結果は受診先の動物病院で獣医師の先生にご相談ください。
※学術誌 「Journal of Veterinary Internal Medicine」は、アメリカ獣医内科学会 (ACVIM)、ヨーロッパ獣医内科学会(ECVIM-CA)の公式刊行物です。