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臨床情報
爪床上皮由来のまれな良性腫瘍です。
主に3~14歳の犬と猫で発生し、品種や性別での発生傾向はとくにありません。病変部では、爪は大きく歪になり、とれてしまうこともあります。また、隣接する皮膚が潰瘍化し、細菌による二次感染もよく見られます。腫瘍の拡大による圧迫で隣接する末節骨が骨融解を起こすこともあります。
爪床上皮由来のまれな良性腫瘍です。
主に3~14歳の犬と猫で発生し、品種や性別での発生傾向はとくにありません。病変部では、爪は大きく歪になり、とれてしまうこともあります。また、隣接する皮膚が潰瘍化し、細菌による二次感染もよく見られます。腫瘍の拡大による圧迫で隣接する末節骨が骨融解を起こすこともあります。
細胞診
角化物や正常の皮膚に類似した扁平上皮細胞が取れてくることがあります。
角化物や正常の皮膚に類似した扁平上皮細胞が取れてくることがあります。
病理組織
腫瘍は左右対称で円形の結節を形成します。腫瘍の壁は厚い扁平上皮で構成され、中心に角化物を容れています。腫瘍性扁平上皮には顆粒層は観察されません。
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腫瘍は左右対称で円形の結節を形成します。腫瘍の壁は厚い扁平上皮で構成され、中心に角化物を容れています。腫瘍性扁平上皮には顆粒層は観察されません。
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予後・治療法
腫瘍は成長が遅く、断指(肢)による完全切除で治癒します。
腫瘍は成長が遅く、断指(肢)による完全切除で治癒します。
臨床情報
爪床上皮由来の悪性腫瘍です。
主に7~11歳の犬でみられ、ジャイアントシュナウザー、ゴールデンセッター、スタンダードプードル、スタンダードシュナウザー、スコティッシュテリア、ラブラドールレトリバー、ロットワイラー、ダックスフントなどの犬種でリスクの上昇があるといわれています。性別での発生傾向はとくにありません。
腫瘍は1本の指(肢)だけでなく、複数の指を巻き込むことがあります。また、細菌による二次感染を伴い、爪がとれてしまうこともあります。腫瘍は強い浸潤性を持ち、隣接する末節骨を破壊・骨融解を起こします。また、さらには関節軟骨、末節骨‐中節骨関節の関節腔、ならびに滑膜包へ浸潤することもあります。
爪床上皮由来の悪性腫瘍です。
主に7~11歳の犬でみられ、ジャイアントシュナウザー、ゴールデンセッター、スタンダードプードル、スタンダードシュナウザー、スコティッシュテリア、ラブラドールレトリバー、ロットワイラー、ダックスフントなどの犬種でリスクの上昇があるといわれています。性別での発生傾向はとくにありません。
腫瘍は1本の指(肢)だけでなく、複数の指を巻き込むことがあります。また、細菌による二次感染を伴い、爪がとれてしまうこともあります。腫瘍は強い浸潤性を持ち、隣接する末節骨を破壊・骨融解を起こします。また、さらには関節軟骨、末節骨‐中節骨関節の関節腔、ならびに滑膜包へ浸潤することもあります。
細胞診
腫瘍細胞は孤在散在性~シート状から塊状に採取され、しばしば好中球を主体とする化膿性炎症を伴って見られます。腫瘍細胞は類円形ないし多角形で、核は細網状のクロマチン網工を呈する幼若な形態を示し、核と細胞質の成熟不一致(核細胞質解離)が認められます。大量の角化物が採取されることもあります。
腫瘍細胞は孤在散在性~シート状から塊状に採取され、しばしば好中球を主体とする化膿性炎症を伴って見られます。腫瘍細胞は類円形ないし多角形で、核は細網状のクロマチン網工を呈する幼若な形態を示し、核と細胞質の成熟不一致(核細胞質解離)が認められます。大量の角化物が採取されることもあります。
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病理組織
この腫瘍は組織学的に、他の部位で発生する扁平上皮癌と同様の特徴を持ちますが、多くは高分化型です。腫瘍性の扁平上皮細胞は、島状または胞巣状構造を呈しながら基底膜を破って深部に浸潤し、隣接する基節骨の皮質ならびに髄質を破壊しながら増殖します。
この腫瘍は組織学的に、他の部位で発生する扁平上皮癌と同様の特徴を持ちますが、多くは高分化型です。腫瘍性の扁平上皮細胞は、島状または胞巣状構造を呈しながら基底膜を破って深部に浸潤し、隣接する基節骨の皮質ならびに髄質を破壊しながら増殖します。
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予後・治療法
腫瘍の成長速度は様々で、どの程度隣接する組織を巻き込んで増殖するかも様々なので、断指(肢)によって骨や軟部組織を含めマージン評価をする必要があります。断指(肢)による完全切除よって多くは治癒しますが、転移もしばしば起こり、主にリンパ行性に支配リンパ節や肺で認められます。
腫瘍の成長速度は様々で、どの程度隣接する組織を巻き込んで増殖するかも様々なので、断指(肢)によって骨や軟部組織を含めマージン評価をする必要があります。断指(肢)による完全切除よって多くは治癒しますが、転移もしばしば起こり、主にリンパ行性に支配リンパ節や肺で認められます。
無断での転用/転載は禁止します。
参考文献
参考文献
・World Health Organization International Histological Classification of Tumors of Domestic Animals, Washington, DC, Armed Forces Institute of Pathology, 1998
・Tumor in domestic animals, 4th ed, Ames, Iowa, Iowa State Press, 2002.
・Tumor in domestic animals, 5th ed, John Wiley & Sons, inc, 2017.
・Withrow & MacEwen's Small Animal Clinical Oncology, Withrow J.S, et al: Elsevier; fifrth ed, Saunders-Elsevier, 2013
・Gross TL, et al: Skin diseases of the dog and cat. Clinical and histopathologic diagnosis, 2nd ed, Blackwell, 2005.
・Cowell RL, Valenciano AC. Cowell and Tyler’s Diagnostic Cytology and Hematology of the Dog and Cat. 4th ed. St. Louis. Mosby. 2013.
・Raskin RE, Meyer DJ. Atlas of Canine and Feline Cytology, 2nd ed. W.B. Saunders. Philadelphia. 2009.
* 本腫瘍マニュアルは、主に上記の文献を参考にしていますが、IDEXXの病理診断医が日々の診断を行う際に用いるグレード評価などは他の文献等を参考にしています。